2006年6月14日水曜日

策略のない建築ーフェデリコ・ヴェンデル写真展

『策略のない建築ーフェデリコ・ヴェンデルの写真における空間の観念』というタイトルは、もちろん私が勝手に直訳したものですが、タイトルとおり、建築家が設計した構図ではない設計写真展です。

フェデリコ・ヴェンデル(1901-1999)スキオ生まれ、トレンティーノ出身の家庭に育つ。30年代から国内外写真コンクールに参加、高い評価を受ける。プロとしての活動において60年代からは主に建築物を撮影。70年からトレンティーノへ居を移し晩年まで過ごす。トレンティーノの土地に愛着を持ち、トレンティーノと深い関係をもつ写真家のひとりだそうだ。

写真は、建築物や静物の被写体に関わる影や光、風などの自然と、偶然でありながら、あたかも統計的、傾倒的、そして、幾何学的だったりする瞬間の交差点を捕らえた、とても美しいものばかりで、不思議な写真の掲載されているパンフレットに誘われて、興味を持って入ってみた甲斐は十分ありました。

写真展は6月22日まで、Torre Mirana, Via Belenzani 3, Via Manci 2-Trento にて

こんなのも見つけました。
http://www.iuav.it/Ateneo-cal/2006/05/architetture_senza_architetti.doc_cvt.htm

2006年6月2日金曜日

Maso Poli マゾ・ポリ


『Maso』とは、イタリア北部に見られる農地形態のひとつで、小作人用の住宅つき農地のことだそうだ。

Maso Poli(マゾ・ポリ)はロ-タリ平野とアデイジェ川を見下ろすように、トレント北部およそ10キロのラヴィスの丘陵プレッサーノにあるワイン街道の途中に建つ。

もともと1680年ポリ兄弟がこの丘を農地として入手、ぶどう栽培を始める。プレサーノは気候や標高、日照条件が栽培には最適で、しかも北部からの強い風から保護される立地、ガルダ湖からの吹き抜ける風がよく通るという土地柄、ぶどう栽培が古くから行われていたそうだ。

時代を経て地主が何度か変わり、1979年にトーニュ家が土地を購入。全体に15ヘクタールのうちの約10ヘクタールがぶどう畑で、ピノ・グリッジョ、テロルデゴ、ラグレインの栽培のために土地の耕作が始まった。

地層条件の検証から始まり認可を取得するまで何年もの歳月をかけ、漸くワインセラー(カンティーナ)として、改築が終了した。ぶどう栽培法もトレンティーノ地方の伝統的なペルゴラ法でなく、グヨット法がより立地条件に適合することで、現在は2haピノ・ネロ、4、5haピノ・グリッジョ、1、5haノジオラの他にミューラル・トッルガウ、シャルドネ、テロルデゴ、ラグレインを栽培、約7万本、525ヘクトリットルのワイン醸造を行っている。

ワインセラーは館内に50人までの試飲収容可、試飲とともに眺望を満喫する中庭に約25人ほど収容可能なテラスがあり、結婚披露宴や芸術や文化に関する展示など、あらゆるイベントの可能性があるスペースだろう。

またマゾ・ポリではB&Bとしても部屋を提供、秋頃新たに近代的建築のキッチンつきアパートも貸出す予定だそうだ。

Cantine Aperte カンティーネ・アペルテ(5月28日)



5月最終日曜日は『カンティーネ・アペルテ』と称しつまり、イベントに賛同したイタリア各地のワイン醸造所、セラーが一般の訪問客を招待歓迎した日であった。

トレンティーノSPAでは、『ワイン、スポーツ、フィットネス』をテーマに、サイクリング、トレッキング、二輪愛好者達をターゲットにし、カンティーナ(ワインセラー)を訪ねる行程を提案。 サイクリングコースにフランチェスコ・モゼ-ルが、トレッキングコースにアルペンガイドが、二輪コースにトレント・ロヴェレート二輪アソセーションが各々のコースに同行、カンティ-ナを訪ねながら、それぞれの移動手段に見合った行程を巡るというものだった。

また同日、トレントのスクデリア・トレンティーナ・ストーリカは『クラッシック・ワインとスピリットツアー』を提案。クラッシックカーでワイン街道からカンティーナを結ぶという、粋なイベントが催された。

トレント北部プレッサーノ、小高い丘陵に建ちワインセラーとB&Bを営む『Maso Poli マゾ・ポリ』で、ちょうど上手い具合に出発時間と重なった。

スピリットツアーの参加者のほとんどが古い型のアルファロメオの持ち主達で、しかも車は現在町で見かけるカラフルな色でなく、クラッシックな、ペンキをベタ塗りしたような印象のシンプルな白や赤。持ち主も随分大人の方々ばかりなのだ。

土地柄と絶景を生かしたモダン建築の建物と、クラッシックカーのまた絶妙な組み合わせが、なかなか素敵な光景でした。