2021年12月14日火曜日

クリスマス小市場 Mercatino di Natale

今年のドゥオモ広場のイルミネーションは、大聖堂だけでなく広場を囲む歴史的建物も含めたトータルルック、ややレトロな感じな印象です。 


2年ぶりの「クリスマス小市場」も始まり、12月のチェントロはにわかに活気ついています。コロナ禍のマーケット入場時はグリーンパスの提示が必須なのですが、混乱をさけるために、事前にインフォポイントで監査済みブレスレット(無料)を入手することを推奨しています。

工芸・特産品屋台の数は例年に比べるとやや少ないものの、フィエラ広場もチェーザレ・バッティスタ広場も飲食ブースは大人気、結構賑わっております。

 

トレント クリスマス小市場>  11月20日〜1月9日 

日曜日から木曜日:10時〜19時30分、金曜・土曜日:10時〜20時30分 、12月18日、31日:10時〜22時    12月25日:休

 

さて今年は更にチェントロのところどころのバールにヴィンブルレ屋台があり、散策中にちょっと立ち飲みができる、というのが新しい。これはマーケットの密を避けるための”グッドアイデア”だと思っているのですが。特にヴィンブルレはバールに座って優雅に飲むというより、”ラフに立ち飲み”というのが気分にも合っているし、寒くてもショッピングだけでなく、散策が楽しみになるというもの。十分な厚着でお越しくださいませ。


2021年10月5日火曜日

秋の収穫

 いよいよ収穫の秋。少し郊外にでるだけで果樹園が豊富なのがトレンティーノである。

9月中旬、収穫日を待つばかりのりんご果樹園を通りながらウォーキング。ゴールデンだろうか、いかにも美味しそうにたっぷりに成長している様子。

私は写真を撮るだけだが、時々小さな子供がちょっと拝借しているのも実は目撃してしまう。一週間後には収穫。


これもまた、ウォーキング中に出合うフルーツのひとつ。Mela Cotogna (マルメロ)だそうで、トレンティーノで見られる果樹。生で食するには苦いので、ジャムなどにするそう。日本では「かりん」の種類です。栽培でなく一般家庭でなっているもの。

9月最終土曜日は晴天に恵まれ、収穫日和となったブドウ。テーブルワインにする個人所有ブドウ畑の黒ブドウ。2021年は房が良く熟成、美味しいワインができるとの予想だそうだ。ちょっと味見しただけでも、酸味と甘み水分もちょうど良い。

ワインになるまで楽しみに待つのである。

2021年9月20日月曜日

引き続き、近頃のMART

 引き続き、近頃のコンテンポラリー・アート分野。

9月19日までMARTの別館パラッツォ・デッレ・アルベレ(Palazzo delle Albere )にてスティーヴ・マッカリー展が開催されていました。

ナショナル・ジェオグラフィックの報道写真家として活躍、特に深い瞳で見据えるアフガンの少女の写真は数々の賞を獲得していることでも著名です。

今回の写真展用の写真も心惹かれました。探したものであっとしても(恐らく)作られたものでない”文化ドキュメント”ではないでしょうか。(でも、どことなく見たことがありそうな顔立ち、と思うのは同じ東洋人だから?)



アフガニスタンで撮影された写真は、地方の美しい風景と、対象的に紛争や軍人たちの写真が何枚かありました。ちょうどカブールがタリバンにより陥落されたニュースで世界中がどよめいている時期と重なり、「アフガニスタン」や「タリバン」のイメージを改めて描き直した機会でもありました。



事前全予約制で、グリーンパス提示が義務つけられたばかりの時期でしたが、入場前にわずかな行列があった程度で、大きな混乱なし。

アジア、アフガニスタン、ブラジルで撮影されたポートレート、風景写真など130点の写真と興味深いショート・インタビュー・ビデオを4本、1時間の制限時間内ギリギリでしたが、なかなか濃い時間を過ごすことができました。


気に入った写真の一枚の一部

今回の展示のなかでは珍しい、ヨーロッパの風景写真、アジアと異なる光や色彩、澄んだ空気や平和も感ずる。



きっと現在ならドローンで簡単にできる遠隔や上空からのアングルも、当時は時間も手段も限られた、危険を伴いながらの撮影のことを想像すると、写真は「絵」だけでなく、写真家の感情も芸術のひとつだと思ってしまう。

夏の合間行った価値ある写真展でした。


2021年9月17日金曜日

新学期 in Trentino

グリーンパスが(ほぼ)義務つけられる、というニュースが流れるや否や、反ワクチン接種派との熱い衝突が今なお続いているが、9月6日新学期は100パーセント対面授業を前提に始まったのだ。

人出も戻ってきた中心地

一般人の私などにすれば、それより公共交通機関(バス・電車など)の混み具合のほうが心配で、特に近所の二学部ある大学生と住人の中高生との登校時間帯をできるだけ避けるってことかな。まあ、通勤に関しては自家用車利用が多い地域だから、登校時間を除けば日中のバスは大抵ガラガラなのが現状、今までと同様80パーセント乗車率を許可している。75人とか80人収容とかって書いてあるけど(多くない?)

ところが、最近相当な”遅れ”が発生していることが問題になっているらしいのだ。

蛇腹で繋がったながーい二両編成バスの運行が原因のひとつなんじゃないですか〜??今までも大学生対象の時間帯に特別周遊で運行していた二車両バス、新学期からは多くの時間帯に導入されたというわけで、カーブの坂道の多い丘陵地区は速度を落とさなければ、すれ違いもだが曲がれない、当然渋滞が発生するでしょうと想像できてしまうけど。

この坂道カーブ、通常は大型バスドライバーも普通のスピードで走る。つまりバスの通行で渋滞にならないってことです。でもすれ違いで急ブレーキの時もあり、実はかなり揺れてスピード感あふれる行程(少なくとも個人的にそう思っている。)なのだ。

さて、二車両バスは前方の張り紙で80パーセント乗車率で「マックス125人」とのこと、そんなに乗って重たくならないのかしら、と思ったりして。それにしても125人乗車としたら、やはり「密」じゃない?とも。

先日の二車両バスは新人らしきドライバーだったらしく、横で先輩のハンドルさばきのアドバイスを受けながらゆっくり下ってきた。多少遅れてもいいから慎重に行け、とも言ってたなぁ。

マックスで100人以上乗せて運ぶドライバーさんも責任重大〜ですね。いやはや、本当にご苦労さまです。

とりあえず新学期の移動は二車両バス運行でやってみよう、ということね。様々な部分で、微調整しながら始めようという意気込みがあって、今のイタリアは好ましいと思っていますけどね。ちなみに、バス会社から、市内接続にバスの利用を薦めている、とのことでした。これで乗車率が減ることは確か、渋滞も避けられるかも。

 

2021年9月15日水曜日

近頃のMART

コロナ禍で昨年からアートからも少しご無沙汰していましたが、今年は興味深い特別展が重なっていたこともあり、是非とも再訪したかったMART トレント・ロヴェレート近代美術館(MUSEO DI ARTE MODERNA E CONTEMPORANEA DI TRENTO E ROVERETO)です。

美術館再オープンした夏の合間に行ってきました。 


ガラスのクーポラから光が差し込む入り口広場には、ドナテッロのダビデ像にインスパイアされたというコンテンポラリー彫像。

8月末まで、ラファエッロ〜ピカソからデキリコ展が開催されていました。

ウフィツィ美術館から自画像を始め数点のラファエッロの作品も。(ちょっと画期的!だと思う)

実際には、ピカソとデキリコの自画像から始まり、近代芸術家がいかにルネッサンス時代に影響を受けていたかを対象するもの。


ピカソもデキリコも思いがけず数多く鑑賞できたので、得した気分になりましたとも。


デキリコもピカソもMART所有があるのですが、視点を変えて、また新たに幾つか観られた好機会でした。コンテンポラリー・アートは時々恋しくなる分野、新鮮です。



何度か書いたかもしれませんが、スイスの建築家マリオ・ボッタが手がけた建築も外観、内部ともに見所。

ちなみにトレンティーノ出身の芸術家作品も常設しています。



アンドレア・マルファッティはトレント中心地には幾つかの作品を残している19世紀の彫刻家、近い過去の身近な芸術家のひとり。



さて、今しばらく開催中のボティッチェリ展は、好みが別れるかも。プリマヴェーラの現代版は今ひとつ共感できないけれど、ボティッチェリ本人の作品は観る価値ありです。

#ヨーロッパ #イタリア #コンテンポラリーアート #トレント #トレンティーノ #トレンティーノアルトアディジェ 

2021年7月21日水曜日

Depero. 1929 Drama  デペロ 



トレント南部ロヴェレートの町にあるMart (トレント・ロヴェレート近代美術館)のグループで、トレンティーノ出身の未来派画家フォルトゥナート・デペロに因んだ「Casa d'Arte Fortunato Depero」はイタリアで唯一の未来派博物館だそうだ。

絵から飛び出し、人や建物、喧騒が詰まったドラマチックなニューヨーク、現在の視点からでも新しく面白い、と思う。

#mart #depero #trento #trentino #trentinoartoadige #italia

2021年7月2日金曜日

覚書 Cantina Aperta - Cantina Endrizzi  カンティーナ・オープンデー 

5月末、長い間の外出規制から徐々に解放されて、アウトドアで過ごすのがとても好ましく、緑が美しい季節になってきた頃、カンティーナ(ワイン醸造所)を一般解放するイベントが再開されました。

昼食後、チェンブラ渓谷と北部の丘陵を少し歩き、遅い時間になりましたが、サン・ミケーレ・アッラディジェのカンティーナ・エンディリッツィ Cantina Endrizzi に立ち寄り、西陽に照らされた広いぶどう畑の中でワイン試飲。

Cantina Endrizzi はトレントの北部アディジェ側の東岸に位置し、1885年創立、現在5世代目の県内でもっとも伝統的なカンティーナのひとつでもあります。



トレンティーノとトスカーナにぶどう畑を持ち土地柄を生かしたワインを製造、国際的なレベルでも評価されています。近頃は”美味なハッピーアワー”を提案していることで(個人的にも)要注目です。

エンディリッツィ https://www.endrizzi.it/it/

日本訪問もしているそうです。

https://www.endrizzi.it/blog/2021/04/26/giappone-affinita-elettive/

2021年5月25日火曜日

市民の塔 Torre civica

ドゥオモ広場にそびえる「市民の塔 Torre civica」は、13世紀の大司教の要請で建築がはじまり、長期に渡り見張り塔として、また時を知らせるための役割と信仰管理のために存在していた。15世紀初めに市の所有になり、何度かの修復を経て、現在も鐘楼の音が響く。

2015年8月に火事が発生、新たに鐘楼と外壁と鐘楼に続く鋼鉄の階段が設置された。内部の梁の焼け跡は証拠に残されたそうだ。高さ43メートル。


隣接の「司教区博物館 Museo Diocesano Tridentino」はトレント公会議(1545から63年)のさまざま貴重な資料が見られる他、カトリック信仰の木彫り祭壇や木像などが展示されている。7枚のフランドルのつづれ織り(16世紀初頭)が興味深い。

#ヨーロッパ #イタリア #トレント #トレンティーノ #トレンティーノアルトアディジェ

2021年5月14日金曜日

ヴェッキオ橋 Ponte Vecchio

 バッサーノ・デル・グラッパを流れるブレンタ川に架かる屋根付きの木造の橋「ヴェッキオ橋(Ponte Vecchio) 」は13世紀初建、戦争や洪水などで何度も架け替えられた後、1947年アンドレア・パラーディオの設計に基づき再建された。

6年かけた修復がようやく今週終了します。


ブレンタ川は、トレンティーノのカルドナッツォ湖、レヴィコ湖に源を発し、アドリア海とポー川に流出、かつては水上運搬としても重要な役割を担っていた川のひとつです。



橋から、パラッツ ォ・ストゥルムの中庭の「King Kong Rhino」が陽光に反射する姿が。台湾人アーティストLi-Jen Shin の鋼鉄ステンレス製 ”大型サイ” で12月31日までの展示だそうです。古い街並みに突然のコンテンポラリー出現が興味をそそります。



2021年5月10日月曜日

マルゴン散策 Villa Margon

 ようやく外出制限も緩んで来たのに遠出をするにはちょっと天気が怪しかった週末、トレントの南西ラヴィーナ地区の丘陵ヴィッラ・マルゴン散策道を歩いてみました。ボンドーネ山の麓、良く陽が当たる景勝地に16世紀建立の美しい館(ヴィッラ)があります。



<ヴィッラ・マルゴン Villa Margon >

1540年から50年にヴェネト地方出身のバッソ家により建立。家の崩壊後はフッジェル家、ロドロン家、ルピス家、サルバドーリ家など1970年まで貴族家に引き継れた。


貴族の夏季の保養地として利用されており、とりわけ美しい景観とおよそ135ヘクタールの広い森林公園の中に建つ。館はヴェネト派ルネッサンス様式の正確なアーチと調和のとれた正方形二階建て、外壁には町を描かれたとわかるフレスコ画が残っている。


内部は500年代におけるトレンティーノに関する一連のフレスコ画が描かれている。館の客として迎えるはずのカール5世皇帝のエピソード、新旧聖書のシーン、次の間の月時絵などは当時の生活の証としての貴重な資料でもある。貴重な調度品が保存されているのも見逃せない。


居館に隣接する胸壁塔は800年代に建て替えられた。マリアの出産に因んだ小礼拝堂はもともと500年代に建立されていたが、1867年にマセラ建築家によりネオ・ゴシック様式で再建されている。


現在はカンティーナ・フェッラーリのルネッリ家所有である。

カンティーナ訪問とワインの試飲ののち、ヴィッラ・マルゴン訪問、ビストロ・ロカンダ・マルゴンでの昼食を含んだコースを提案、こちらも興味深い。 


予約、インフォーメーション:


カナンティーナ・フェッラーリ https://www.ferraritrento.com


*過去ログ https://33trentini.blogspot.com/2015/05/villa-margon.html 

*昨年のカンティーナ状況過去ログ https://33trentini.blogspot.com/2020/09/blog-post.html

2021年4月16日金曜日

シナノゴールド in Italia

「シナノゴールド」は長野県産のりんご種であるが県開発団体の協力のもと、南チロル(トレンティーノ・アルトアディジェ特別自治州ボルツァーノ県)農業生産者団体(VOGとVI.P)での試験栽培が始まり、2016年に商標に関するライセンス契約を締結、2019年にはいよいよ欧州から90カ国に販売が可能になったそうだ。

https://web.archive.org/web/20200202042555/https://www.nikkei.com/article/DGXMZO42111000W9A300C1L31000/



 

縁があり途中経過の取材とライセンス契約について少々関わったものの、みじかな市場(スーパーマーケット)で見かけることなく今日まで数年経過。ようやく先日初めて普通のスーパーで見つけたというわけで、感激!である。長野県原産「シナノゴールド」はイタリア北部でも居心地を見つけて元気に育っていたのね!


味はサクサク、フレッシュ、ジューシーで、他のどの種とも異なる。イタリアのりんご保存技術が優れていることは聞いていたが、収穫したばかりとも思える新鮮さが十分保たれている。しかも形の良い大きめの綺麗な黄色、イエロー(Yellow 黄色)とハロー(Hello) を合わせた「Yello」の名にぴったりではないか!


さて、ここトレンティーノ(トレンティーノ・アルトアディジェ特別自治州トレント県)はりんご栽培でも知られています。メリンダ(Melinda) 生産共同体日当たりの良いノン渓谷、ソーレ渓谷において栽培されるりんごを扱っている県最大りんごメーカーなのです。やはり地元優先という理由で、南チロル産は今まであまり見かけなかったのかしら。(何しろ県境壁は厚いのだ、地元住民しかわからない厚さだけど)


トレンティーノ・アルトアディジェ地方の代表的なお菓子「ストゥルーデル」は「レネッタ」(また通称、「カナダ」)が最適と言われていて、県内では初秋の一番初めの収穫、ちょっと若くて(いわばサクサクな感じ)固めな感じのりんご種を使うのがちょっと通。(県内の話)




でも今回はこのシナノゴールドで「ストゥルーデル」を作ってみました。

結果、その違いを説明するのは難しいけれど、「りんごのストゥルーデル」というより、日本の「アップルパイ」に近い味になったような、りんごが良く焼けた、という印象です。(ジューシーだったせい?)


トレンティーノ・アルトアディジェ特別自治州はその歴史上、ドイツ・オーストリア文化の影響を受けており、食生活もしかり。実はハンガリー旅行の際は”元祖ストゥルーデル”のレストランにも行きました。時と場所を経て、若干味や作り方の変更もあったのでしょうが、今ではトレンティーノ・アルトアディジェ州の地方菓子として根着いております。


ともかくこの近郊の「ストゥルーデル」は、どのりんご種でも好ましい美味しさ。美味く焼けるのは多少経験が必要ですが、どの家庭にあるりんごと小麦粉の生地で作れる、とても近しい、いつの時代も愛されてきたお菓子、と解釈、納得しています。


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